YAGレーザーの幅広い効果とは?

YAGレーザーは、シミやそばかす、ニキビ跡や毛穴などの肌悩みの改善、肌の引き締め、医療脱毛など、幅広く使われる医療機器です。これは、波長が3種類あるうえに、照射速度や照射モードが異なるさまざまな機種があるからです。そこで、今回は、YAGレーザーの特徴や効果についてご紹介します。

YAGレーザーとは?

YAGレーザーとは、光源となるイットリウム、アルミニウム、ガーネットの頭文字を取って名付けられました。
YAGレーザーには、波長の違う3種のタイプがあり、医療脱毛やシミ治療に用いられるのは、Nd:YAGレーザー、シミやあざの治療に用いられるのは、KTPレーザー、ニキビ跡治療やトーニング、脂漏性角化症に用いられるのは、Er:YAGレーザーです。

また、1つの機器で、1064nmと532nmの波長を使い分けることができる「QスイッチYAGレーザー」やピコ秒で照射できる「ピコNd:YAGレーザー」もあります。
YAGレーザーといっても波長、照射速度や照射モードが異なると、特徴や効果、ダウンタイムや痛みも違ってきます。さらに、YAGレーザーは、さまざまな機種があるため、それによっても効果やダウンタイムなどが異なることもあります。

YAGレーザーの効果

YAGレーザーにより皮膚へレーザーを照射すると、シミの原因となるメラニン色素がレーザーの光を吸収し、熱エネルギーを発生させます。その熱エネルギーによって熱破壊が起き、シミが除去されます。シミの種類や厚さによって使用する波長が異なり、平坦な老人性色素斑や脂漏性角化症には、QスイッチYAGレーザーやNd:YAGレーザーが使われます。また、KTPレーザーが用いられることもあります。一方、厚みのある老人性色素斑や脂漏性角化症にはEr:YAGレーザーが使用されます。

1064nmのNd:YAGレーザーは脱毛効果も高く、脇や髭、VIOなどの毛が濃く太くなりやすく、深いところに毛根がある部位や産毛にも脱毛効果がしっかり実感できます。さらに、Nd:YAGレーザーは硬毛化リスクが低いレーザーなので、硬毛化してしまった毛の治療にも用いられます。また、従来のレーザー脱毛では火傷のリスクがあり、照射が難しかった肌の色が濃い方や色素沈着がある部位にも照射可能です。

さらに、1064nmのNd:YAGレーザーは、皮膚の深いところに色素を入れていくアートメイクやタトゥー、皮膚の深い層に局所的にメラニンが溜まることが原因でできるほくろの除去ができます。

QスイッチYAGレーザーの中には、低出力でシャワーのように照射していくレーザートーニング治療が可能な機器もあります。そのため、そばかすや従来のレーザーでの治療が難しい肝斑の治療も可能になりました。ただし、レーザーによる肝斑治療については、まだ臨床でのデータが十分でなく、エビデンスが確立されているとはいえません。

532nmのKTPレーザーは、皮膚への浸透度が浅いため、黒や扁平母斑などの茶あざと呼ばれるメラニン由来のあざの治療にも効果を発揮します。また、赤色の酸化ヘモグロビンにもよく反応するため、顔面紅斑や赤ら顔の改善が期待できます。

一方、太田母斑や異所性蒙古斑などの青あざ、灰色または褐色のあざが特徴のADM(後天性真皮メラノサイトーシス)の場合は、Qスイッチレーザーなど、パルス幅の短いYAGレーザーを使います。
ニキビ治療に特に効果を発揮するのは、Er:YAGレーザーです。深度の深い場所へ治療ができる「アブレイティブフラクショナルレーザー」とダウンタイムが少ない「ノンアブレイティブフラクショナルレーザー」の2つのモードを使い分け、赤みのあるニキビ跡や深い凹凸状・ピック状のクレーターの治療ができます。

ドット状に照射するEr:YAGレーザーのノンアブレイティブフラクショナルレーザーモードや、ロングパルスYAGレーザー、QスイッチYAGレーザーのトーニングモードを用いることで、肌の引き締め効果やタイトニング効果も期待できます。肌に照射したレーザーは、皮膚の奥の真皮層まで到達すると、真皮層にある細胞を刺激し、コラーゲンやエラスチンを生成します。その結果、美肌効果や毛穴の引き締め効果を得ることができます。肌や毛穴が引き締まることで、皮脂量がコントロールされ、ニキビの予防にも繋がります。

さらにレーザーの照射によって肌表面のターンオーバーが促進するため、より美肌効果を高めることができます。

まとめ

YAGレーザーはさまざまな肌悩みに効果を発揮する性能の高い医療機器ですが、その分、特性を全て理解するのは難しいと思います。だから、自分の肌悩みにYAGレーザーが適しているかどうかは、クリニックでカウンセリングを受けて判断することをおすすめします。